ここ3年、なんか年末の恒例行事みたいになってきているのですが、近畿大学短期大学部で経営学を学ばれている学生さんに、起業家講演をさせていただきました(11月末のことで、ブログで書くのには時間が経ってしまっていますが…)。
うちは2005年7月創業の課題山積の零細企業なので、学生さんの前で話をするのはどうなんだろう…と思っているのですが、近大で経営学の先生をされている学生時代の先輩からの依頼なので、無理しつつ話させていただいています。
今年は、うちで取り扱いさせていただいているデニムブランド
graphzero(グラフゼロ)を手がけられている、株式会社Channel・鈴木徹也さんとコンビでの講演でした。
鈴木さんも僕も、人前で一方的に話す講演には慣れていないので、事前に2人で打ち合わせ。話そうとしている内容を箇条書きにしてはいたのですが、「このセクションは5分、これは10分…とか、時間の割り振りをしとけばいいんじゃないか?」と鈴木さんにアイディアをいただき、今回はなんとかそれなりにしゃべることができたような感じでした。
僕が話した内容は、うちのサイトの
「ごあいさつ」のところでも書いておりますので、よろしければこちらをご覧いただくとして、ここではgraphzeroの鈴木さんの話を書いてみたいと思います。
graphzero(グラフゼロ)の鈴木徹也さん。サングラスとハンチングがトレードマークな鈴木さんは、一見するといかつい感じがしますが、サングラスをはずすと、実は結構かわいい目をしてたりします。
graphzeroは、国産ジーンズの本場である倉敷市児島生まれのブランド。倉敷・児島の生地屋に生まれた鈴木さんの呼びかけで、染色・生地加工など、ジーンズ制作に精通したメンバーが結集。ジーンズの生地は糸の段階から独自に企画し、国内屈指の繊維産業の街だからこそ可能な、上質でオリジナリティあふれるものづくりをされています。2008年には法人化され、さらに本格的にブランド展開を進めておられます。
鈴木さんとは倉敷と京都でちょっと離れていますが、週に2〜3回、なんだかんだで電話で長話したりしているので、あまり離れているという感覚がありません。同志的な感じで仕事をさせていただいている方の1人です。
鈴木さんの素材に関する知識はものすごく深く、これまでいろいろと丁寧に教えていただいたおかげで、ジーンズに関するお客様のお問い合わせに、ほぼ答えられるようになったように思います。

ジーンズは、着用者の体型や着用頻度・環境によって様々に色落ち・経年変化するのが魅力の1つ。graphzeroでは、生地の企画の際、染料の種類や染色濃度、糸の撚り回転数や糸の太さやムラ、織り密度(打ち込み本数)といった細部まで独自に設計し、「はきこんで2年後に完成するジーンズ」を追求されています。
現在のgraphzeroのアイテムでメインとなっているのは、収縮・よじれ防止・毛羽焼きなどの処理を全く施していない、厚めの16.5オンスの「生機」(きばた)で制作したジーンズ。ヴィンテージもののジーンズと同じく、昔ながらのシャトル織機(力織機)でざっくりと織り上げられた、graphzeroオリジナルの生地を使用しています。
生機はよじれが生じやすいですが、防縮加工を施していないために伸縮性に優れ、はきこむほどに体にフィットしていくのが特徴。また、糸を最高濃度で染色しているため、濃淡のメリハリのきいた色落ちがしやすいようになっています(上の写真だと、中央の濃い色のジーンズが新品の状態で、右が1年間ほぼ毎日着用した穿きこみサンプルです)。
仕事柄、これまでいろんなジーンズを見てきましたが、graphzeroは素材に力を感じるというか、存在感のあるジーンズだと思います。

ジーンズ制作には、生地・染色・縫製・加工それぞれの段階で数多くの工程があり、ジーンズならではの専門的な工程・手法もあったりします。鈴木さんは実物を見せながら、専門的な事柄もかみくだいた表現で、学生さんに説明されていました。
今はデフレの時代で、1,000円を切るジーンズも出てきていたりします。鈴木さんによると、低価格ジーンズを称賛し、児島のジーンズを批判するメディアや論調もあるようです(もちろんその逆もたくさんあるのですが)。
「自分がつくりたいようにつくる」ことが、鈴木さんの仕事の根底にあるのですが、今後もその思いを形にしていくためにも、高い技術力のある児島の繊維産業を盛り上げていきたいという思いをもっておられます。
ジーンズ制作は多工程にわたるため、そこでの仕事にたずさわることで生活している人びともたくさんいて、「産業」「産地」と呼べる広がりをもっています。graphzeroのような産地ブランドが育てば、自然と産地で働く人たちにもお金が回ることにつながります。
「安くつくれる海外でつくる」というのは合理的な選択の1つだとは思いますが、長期的にみて、本当にそれが良い選択であることにはちょっと懐疑的です。「産地で生きる人たちが、これまでの蓄積を生かして、これからも食っていけるようにしたい」という気概をもって頑張っている人がいることも、知ってほしいなぁと思います。
僕は、自分の仕事を通じて、それを少しでも皆さんにお伝えしていければと思っています。
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この起業家講演は、他の日にも他の社長さんたちが話されていて、うちでもお取り扱いさせていただいている京友禅和柄ジーンズブランド
「禅」を展開されている
株式会社京でん・竜田昌雄さん、京都本の企画・制作などを手がけておられる
株式会社のぞみの藤田功博さんも話されていました(近畿大学のある東大阪市までは遠く、仕事もあったので聞きに行けなかったのですが)。
今回、もう1人講演された
株式会社マイファームの西辻一真さんは、ここ京都で注目されている若手起業家さん。去年、先輩に「誰かいい経営者さんはいない?」と言われ、西辻さんを推薦したこともあって、講演を聞きに行ってきました。

株式会社マイファームの西辻一真さん。全国各地の耕作放棄地を貸し農園として再生させたり、農業指導や農業体験などの事業にも取り組んでおられます。今年は「ガイアの夜明け」や「報道ステーション」で特集されるなど、メディアにも数多く取り上げられています(年明けにも、ある“すごい番組”に出演される予定です)。
→マイファームさんのホームページはこちら西辻さんと知り合ったのは、3年ほど前。その当時は知り合いの会社で仕事をされている時で、一度飲む機会があった際、「農業関係で起業したい」と話されていて、僕は「それはすぐにでもやったほうがいいと思うなぁ」と偉そうに言ったことを覚えているのですが、あれよあれよという間に、ここ京都を代表する20代の起業家に成長されています。
僕は実家が農家(兼業ですが)ということもあり、荒れ果てた耕作放棄地を見ると、それが他の人の田や畑であっても、ちょっと暗い気持ちになってしまいます。僕は今年、父を亡くし、田や畑をどうするかという話になったのですが、耕作放棄地にはしたくないので、僕はちょこちょこ実家の舞鶴に帰っては畑仕事をしています。そういう事情もあって、僕は西辻さんの仕事にものすごく意義を感じ、その理念にも共感します。
先日、のぞみの藤田さんのお誘いで異業種の経営者の忘年会(
詳しくは京でんの竜田さんがブログに書かれています)に参加させていただき、その時にも西辻さんといろいろ話をしたのですが、将来的には社長という立場は誰かに譲り、実家のある福井に戻って、田や畑を耕して作物を育てる「プレイヤー」の立場になるのが夢とのことで、すごく謙虚で真摯。27歳という若さなのに、意思と行動がブレてないところがすごいです。
この12月は、何かと人に影響を受けることが多く、自分はまだまだだなぁと思わされた月でした。これからも自分の原点を忘れずに、頑張っていきたいと思います。
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